「あ、こりゃ桶屋が儲かるぞ」
「どうしたんですか?お釈迦様」
「いやね、風が吹いたんでね」
「ああ例の、風が吹けば・・ってやつですね。ほんとなんですか??」
「ほんとほんと。おまえらにはまだわからんだろうが。間すっ飛ばして目の前に桶屋が現れるんだよ」
「へえ、さすがっすねえ」
「これを縁起の悟りという。一を聞いて十を知るってのも一緒だ。断片的な情報から全体を経験則や自然法則を当てはめて推測するんだよ。まあ悟れば推測なんてものじゃないがな。ありありと見える」
阿難は先日その桶屋が廃業したことは黙っていた。