一切皆苦

「一切皆苦」の解説

お釈迦様はこの世は「一切皆苦」であるとおっしゃいました。
本当にそうでしょうか?

実はお釈迦様「苦」(苦しい、と思い通りならない、と言う意味ですが)について、
何の価値判断もされておりません。
つまりそのことが良い悪いではなく、事実としてこうである、とおっしゃっているだけです。

そうは言っても、世の中や人生には苦だけでなく快楽もあるじゃないか、と思われることでしょう。

では「快楽」とは何でしょうか?
それは実は「苦」からの解放こそが「快楽」なのです。
・空腹が満たされる
・痒いところを掻く
・エアコンの効いた涼しいところへ行く

上記はそれぞれ、空腹、痒み、暑さ、と言う「苦」が先立っていることがお分かりでしょう。
「苦」がなければこれらの快楽は味わうことができないのです。
つまり「一切皆苦」とはそういうことです。

映画を観ることを想像してください。
ハッピーエンドのストーリーの映画があるとします。
主人公は様々な苦難に出会います。もう風前の灯のようなシーンも数多く散りばめられています。
ハラハラドキドキ、主人公が悲しむシーンでは観ている我々も思わずもらい泣きしてしまいます。
どうしてこんな悲惨な目に合わなければいけないの!と思わず声を上げたくもなります。

そして紆余曲折があり、その全てを乗り越えての大団円。
もうお分かりのように、我々は「苦」と「苦からの解放」を、わざわざお金を払って観に行くのです。

見方を変えると人生もこのようなものなのです。
つまり我々は、「苦」を体験し味わうために、この世界に生まれて来ているのです。

そう考えると、「人生は何でこんなに苦しくて思い通りにならないのだろう」、と思い嘆くのは、
ちょっとおかしなことだと思いませんか?

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